|
私の職場のデスクの上には、1枚の写真が飾ってあります。
サッカーの試合前に撮影するただの集合写真ですが、A3版ほどの大きさでフレームに入っているせいか、かなり目立つのかもしれません。訪れた人は、きまって「サッカー好きなんですか?」と聞いてきます。中には興味深げに写真をのぞきこんで「あっ、マラドーナの弟だ!」「ディドだ!」「ペレイラだ!」などと、知っている選手を探す人もいます。そこから始まるサッカー話、こんな写真1枚で盛り上がるサッカー好きも、世の中にはたくさんいるものです。
でも、上下白のユニフォームに黄色い胸スポンサー。これがどこのチームの写真か言い当てた人は、残念ながらひとりもいません。写っているのは、後列に渡辺卓・太田貴光・田渕龍二・富樫剛一・ペレイラ・ディド、前列に後藤義一・山橋貴史・マラドーナ・村田達哉・バルデスの11人。マスコミからは「寄せ集め集団」と叩かれながらも快進撃でJFLを優勝し、私たちのJリーグへの夢をかなえてくれたあのチームです。
「これは、1997年のJFL・コンサドーレ札幌というチームですよ。」
私がコンサドーレという名前を出すと、たいていの人はこんな反応をします。
「ああ、コンサドーレ・・・たしか前に岡田監督がいたよね?」「いま何位? あっ、J2に落ちたんだっけ・・・」「え〜〜〜っ!最下位!? JFLには落ちなくていいの・・・?」
今の東京では、コンサの認知度なんてこんなものかもしれません。しかし、コンサのコの字にも興味がないという人ばかりの環境で、ほんの少しでもコンサの話ができた喜びは、なんとも言えないものがあるのです。
実は私、今年の夏に札幌から東京に転勤になりました。札幌での4年間は、コンサ中心の生活ができた反面、最近はコンサ以外のサッカーに触れる機会がほとんどない淋しさもありました。特に去年や今年のコンサのサッカーばかり見ていたら、誰だって「サッカーってこんなにつまらないものなの?」という気持ちになってしまうはずです。
だから東京に来てからは、コンサ以外のサッカーを徹底的に見まくりました。
J1や代表クラスのサッカーの醍醐味を堪能して、「いや〜良かった、すっきりした!」という気持ちになっていた・・・・・・・なっていたはずだったのです・・・が。
何か物足りないのです。
F・マリノスを見に行けば試合前の練習で姿を見せるディドに目が行くし、FC東京を見に行けば今野のプレーしか追っていないし、浦和レッズを見に行ってもエメや山瀬にボールを回せと願うばかりだし(山瀬が再びケガをした瞬間を目撃した時には絶句してしまいました)、ガンバの大黒やヴィッセルの播戸のゴールに喜んでいるし。コンサから巣立った人々が、日本のサッカー界を盛り上げている現実を見て楽しんでいる。要するに他のチームを見ていても、頭の中からコンサが離れていかないのです。
こんなにサッカーを楽しむための選択肢がたくさんある環境にいながら、今のコンサのようにドジでノロマなカメのようなチームにしか愛着が持てないなんて、これほど悲しいことはないかもしれません。結局のところ、どこに行っても私の心を満足させてくれるものは、コンサしかないようです。
師走に入り、どこの誰もが忙しい毎日を過ごしていると思います。いつもは平穏でお気楽な私だって、大晦日の除夜の鐘が108回きちんと鳴り終わる時間まで、なんだかんだと仕事が待っています。でも、それが終わった直後に行く元日のサッカーのチケットだけは、しっかりと確保してあります。新春の国立へやってくるのはどこのチームなのかわかりませんが、チケットを見ながら「あのチームだって可能性が残っているよね」と、ふと思ってしまう自分。(そんなことが起きたら世の中大変なことになってしまいます・・・恥ずかしくて口に出すこともできません)
今は少しでも長くコンサのことを考えていたいから、今年のコンサにはもうちょっとだけがんばってもらって、1試合でも多く戦ってほしいと思うのです。
|